「主語のない文章」について

人材育成ブログ

 筆者は2000年頃から民間企業,官公庁などの管理職を対象にした評価者研修(官公庁や学校法人では「考課者研修」と呼んでいます)を行ってきました。
本稿では今まで実施してきた研修から,記憶に残っているエピソードをご紹介いたします。
『女子大と呼べるのは本学だけ』といわれる東京都文京区にある名門女子大学で行った研修会場での話です。その日,評価者研修の講義を始めてから10分程経ったとき,すっと参加者の1人から右手が上がりました。私が「ご質問ですか?」と訊くと,彼女は「先生が今おっしゃった『相手に寄り添うことが大事』という文章の主語は誰でしょうか?」と発言されました。私が「それは評価者です」というと
納得した様子でした。休み時間にそのことをオブザーバーとして出席していた人事課長に尋ねると「本学では小学校1年生から一貫して主語の大切さを教育してきているので,質問した彼女も小学生から大学まで本学で学んできたから気になったのでしょう」ということでした。なるほどと思える質問だったわけです。
 私たちは日常の会話で相手が当然わかっていると思って話をしていることが少なくありません。いわゆる思い込みが先行して,相手にこちらの論旨が伝わらないことも多いのです。人とコミュニケーションを取りたいと思ったら,相手にこちらの真意をわかってもらえるように努力する必要があります。「理解できないのは相手が悪いから」と相手に責任を押しつけず,まずは自分の話が相手に正しく伝わっているのかどうかを考えて話をする必要があります。
 その際,主語と述語を明確にすることが重要であることは言うまでもありません。