「令和2年高年齢者の雇用状況」調査結果と今後の課題

人事制度

現行高年齢者雇用安定法では,企業に65歳までの再雇用義務として,
定年引上げ,定年制廃止,継続雇用制度の導入のいずれかの措置(「高年
齢者雇用確保措置」と呼ぶ)を講じるよう求めています。
また,2004年の改正高年法施行以降,厚生労働省は企業に対して,
毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。
 本年1月8日に厚労省から発表された2020年の調査結果のポイント
について解説いたします。
 ①65歳までの雇用確保措置のある企業は調査対象企業の99.9%で
した。
 ②その内訳は,次のとおりです。
・継続雇用制度:76.4%
・定年の引上げ:20.9%
・定年制の廃止: 2.7%
 ③66歳以上勤務できる制度のある企業は33.4%でした。
 ④70歳以上勤務できる制度のある企業は31.5%でした。
 さらに,本年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行され,65歳
までの雇用確保措置に加えて70歳までの就業確保措置が努力義務として
企業に課せられました。
 こうした国の要請を受けて大企業中心に社員を70歳まで雇用する動き
が広がり始めています。2021年5月22日付朝日新聞の記事では雇用
延長の取り組みを始めた企業について報じています。
 ・明治安田生命:2019年に定年を60歳から65歳に延長し,本年
4月から70歳まで嘱託として雇用する道を用意し,さらに2030年に
は70歳まで定年を引き上げる予定です。
 ・江崎グリコ:本年4月から60歳定年後再雇用者の上限を65歳から
70歳に引き上げました。
 ・YKKグループ:国内の17事業会社で定年制の廃止を決定しました。
 しかしこれらの企業を別にして,高年法に定める70歳までの就業を実
際に行える企業はまだ少数派です。大半の企業は再雇用期間の延長に伴い
人件費負担が増大するとともに若年者のポストを奪うと考えるあまり,法
律どおりに雇用延長を進めることに躊躇していると思われます。
つまり,レガシーな右肩上がりの賃金曲線を維持する限りこうした年齢
に起因する問題は簡単には解決できないのです。
そして,いつまでも「定年前の基本給が一番高くなる仕組み」に振り回
されていると,法改正の都度同じ問題に悩まされることになります。
この機会に定年とレガシーな人事制度(年功賃金)を分離し,経営計画
の達成と社員のキャリア形成という最終目標から現在の人事制度の仕組み
を見直すことが課題解決の近道になると思います。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

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