「企業の壁を超えた労働条件の適用事例」

人材育成ブログ

労働条件は,自社の従業員に対して使用者が定めた労働に関するルール
です。なかでも最も重要な要素が賃金と労働時間といえます。
 また労働条件は,通常使用者と労働者(社員)が労働条件の内容につい
て労働契約(民法では「雇用契約」と規定)を締結して合意します。
つまり労働契約は,使用者と社員の双方が遵守すべき事項を定めたもの
ですが,使用者または社員が労働契約に定めた事項を守らない場合には法
的効力により罰則が生じることになります。
ただし規範効力には優先順位があり,一番効力のある規定は労働基準法
になります。この労基法は「労働者保護法」とも呼ばれ,労働契約の当事
者のうち,弱者である労働者(社員)を守る法律という意味があります。
 一般に,規範効力の優先順位は次のようになっています。
労使慣行 < 労働契約 < 就業規則 < 労働協約 < 労働基準法
 このうち,労基法は罰則を伴う強行法規であるため労基法に定める条項
に違反すると使用者は10年以下の懲役または300万円以下の罰金に処
せられます。(※当然,違反事例によって罰則の程度は異なります)
本年9月22日,厚生労働省から「同地域にある会社が労働組合と決め
た労働条件は労働組合のない会社も含めて同業種のすべての会社に適用さ
れる」という通達が発令されました。
この「労働協約の地域的拡張適用」決定の下になった事案は2020年
3月に茨城県内のヤマダ電機が同社の労働組合と結んだ労働協約が正社員
の年間休日を111日に決めたことです。適用先は茨城県内にある大規模
小売店舗立地法の対象になる家電販売店です。
一般に労働協約は,会社と労働組合が組合員の労働条件の改善について
話し合って決めたものです。したがって,対象は協約を締結した組合員に
限定されますが,拡張適用されるとそれ以外の労働者にも適用されること
になります。
こうした決定の法的根拠は労働組合法第18条にあり,今回の地域的拡
張適用の決定は1989年以来30年ぶりといわれています。
コロナ禍に伴う需要低迷が長期化し産業別業績格差が鮮明になる中,政
府は景気回復の労働政策として「成長果実の公平な分配」を謳っています。
 このような情勢の中,経営者は社内だけでなく地域の労働条件について
もアンテナを張り,自社の労働条件を見直すなどのリスク管理に配慮する
必要があるでしょう。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

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