「内製化がもたらす人事制度改革のリスク」③「経験のリスク」

人事制度

 本シリーズ第3回は「経験のリスク」についてお話しいたします。
 人事制度改革は人事制度構築に精通した経営コンサルタントが行うのが
一番ですが,予算がない等の理由で自社内で行う場合,さまざまなリスク
が伴います。
通常,企業の人事部に勤務する社員は採用や研修,給与計算などには興
味を示すものの人事制度は敬遠される傾向にあります。またその反対に人
事制度に凝り固まってしまい,自分の好きな人事制度をつくることに喜び
を感じるような人もいます。
人事制度はその時々の社会経済状況を背景に,終戦以来不可逆的に進化
を遂げてきたという歴史があるということは,オンラインセミナーでも
度々説明してきました。現在経済成長の低迷期以降の流れを受けて,経
営計画達成の役割と社員のキャリア形成を両立させる合理的な仕組みの
役割等級制度が主流になってきました。
 一般に物事の良し悪しは経験に頼らず理性で判断できれば,それにこし
たことはありませんが,理屈上は正しくても実際はうまくいかないという
ことが多々あります。
 その意味で経験の数は多ければ多いほど「正解」に近づくといえます。
人事制度改革を行う場合,私が常に顧客企業の人事責任者に申し上げてい
ることは,「最低でも17業種100社程度の人事制度改革の経験がある
コンサルタントに頼みなさい」ということです。
 他方,人事制度の種類は職能資格制度,職務等級制度,役割等級制度な
どがあり,それぞれの制度には特徴や問題点もあります。先に述べたよう
に人事制度は不可逆的に進化を続ける中で,これらの問題点の大半は解決
されてきました。
 バブル崩壊後は特に年功主義が世間から批判されるようになりましたが,
「人事制度の専門家」と自称する人事部門の論者はレガシーな年齢や勤続
をベースに人事制度を再構築する傾向があることも事実です。
特に日本社会には伝統的な「一社主義」「就社主義」という思考が残存し
ているため,他社の経験が少ない人事部門の自称専門家が専門書や市販の
参考書,労政時報(月刊誌)などの専門誌から得た断片的な知識で人事制
度改革を行うには限界があります。
 実際,人事制度改革または人事制度の再構築と銘打った,その手の参考
書や論文は数多く出版されていますが,それらのどれ一つをとっても「人
事制度改革のポリシー」の確認から「現行制度分析」→「等級制度構築」
→「新評価制度構築」→「新給与制度構築」までのプロセスや「新人事制
度マニュアルの作成」→「人事制度改革に伴う就業規則・給与規程等の変
更」手順まで詳細に書かれている書籍を見たことがありません。
よく見るケースは「職能資格定義書」や「等級別対応役職位」を抜粋し
た図表や「号俸給テーブル」のサンプルなどで,それぞれを作成したプロ
セスの記述もなければ,「役割等級基準表」や「人事評価表」,「昇降格基準
書」などのつくり始めから完成に至るプロセスや説明などは皆無といって
いいでしょう。
 つまり,その手の書籍の特徴は,新人事制度のハイライトだけを載せて
いるだけで,それらのほとんどがどこか似ている図表になっていることで
す。
 システム設計で一番重要な点はアーキテクトと呼ばれる設計思想です。
 その原点は「なぜ,このような仕組みにしたのか?」「なぜここはこの数
字でなければいけないのか?」「この賃金直線はどのような算式に基づいて
描いたのか?」などの理由を説明し,人事制度の適用対象となる社員の理解
を得ることです。
 人事制度改革は,社員の労働条件の仕組みを変革するという変更を意味し
ます。安易にテクニックの問題と考えて自前主義で行うと,「仏つくって魂
入れず」といった結果に陥ることになります。
 人事制度改革を行う際には改革の大義をポリシーとして全社員を前にして
説明を行い,経営者だけでなく一定数の社員(ベンチマークジョブ)の意見
を取り入れた納得性の高い仕組みにすることが重要です。
 この意味で人事制度改革は100社以上の実績を持ち,経営者や社員の意
向を組み込んだ合理的な仕組みを制作できるその道のプロに依頼することが
後悔しない選択といえます。
 人事制度改革のご用命は,450社以上の改革実績を持つ当社にご相談くだ
さい。専門の経営コンサルタントが懇切丁寧にご担当者や人事制度改革プロ
ジェクト事務局の方に解説を行いながら実施させていただきます。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

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