「内製化がもたらす人事制度改革のリスク」⑥「比較のリスク」

人事制度

本シリーズ第6回は「比較のリスク」についてお話しいたします。
 人事制度改革は人事制度構築に精通した経営コンサルタントが行うのが
一番ですが,予算がない等の理由で自社内で行う場合,さまざまなリスクが
伴います。
人事制度改革は「労働」の評価軸をレガシーなものからその時代に即した
基軸に変換すること,つまり労働条件の変更を意味します。
そのため人事制度を内製化で行う場合,同業他社や複数の会社で人事制度
構築を行った経験がないと客観的で合理的な人事制度設計を行うことは難
しいと思います。その手の市販本を読んだくらいでは人事制度改革のポリ
シーを人事制度の仕組みに取り入れることや人事制度の設計ツールや給与
分析プログラムを使って労働法に抵触することなく人事制度改革を行うこ
とは困難なのです。
会社の総務人事部に籍を置く人で人事制度設計ができる人はごく稀にい
ますが,たいていのスタッフは採用,教育,福利厚生といった身近な業務
が好きになります。特に,採用業務は新卒でも中途採用でも好きになる人が
少なくありません。
 ではなぜ人事制度構築の経験者が少ないかというと,それは仕組みが複
雑で導入後の良し悪しがすぐにわかるからではないでしょうか。
 つまり,結果次第では責任を追及されることになるという点でリスクの
大きい業務なのです。特に同業他社と比較して人事制度の仕組みに優位性
がなければ優秀人材が同業に引き抜かれるリスクが伴います。
 このように考えると人事制度構築の経験は1~2社だけでは役に立たず,
最低でも業種業態の違う20~30社の導入経験が必要になるでしょう。
経営者が必要としている人材要件を役割等級制度や評価制度に組み込み,
社員がその人材要件をめざすようにして初めて経営のメッセージが社員に
届く人事制度になります。
 その意味で人事制度改革の失敗や成功事例などの経験を生かせれば,よ
りよい処遇・待遇の仕組みづくりができるようになるのです。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

石垣敦章 080-3574-4261