「同一労働同一賃金ルールの適用をめぐる問題―正社員の不利益変更を伴う格差是正策」について

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 同一労働同一賃金ルールは,新たに法制化されたパートタイム・有期雇用労
働法第8条と第9条に明記された正社員と非正社員間の不利益な待遇差を禁止
した労働条件に関するルールです。
 本法律は2020年4月から大企業に,2021年4月からは中小企業に施
行され,施行に伴い企業に給与体系や労働条件の変更を求めています。
日本郵政グループは年末年始休暇,年末年始勤務手当,病気休暇等に関して
2020年10月15日に最高裁判決で「正社員と有期契約社員(非正規社員)
間に不合理な待遇差がある」と認定されました。
この判決を受けて日本郵政グループは労働条件の格差を是正する見直しを労
働組合に提案した内容が問題になりました。
 会社が提案した内容は,夏期・冬期の有給休暇と年末年始の祝日給,病気休暇
の有給に関する3点でした。主な提案内容は以下のとおりです。

夏期・冬期休暇(有給)
正社員 「現在」3日づつ「新提案」2日ずつ
非正社員 無期転換社員 「現在」1日ずつ 「新提案」1日ずつ
非正社員 有期社員 「現在」0日 「新提案」1日ずつ

病気休暇
正社員 「現在」90日間(有給) 「新提案」15日間(無給)
非正社員 「現在」10日間(有給) 「新提案」15日間(有給』

 病気休暇の新提案では正社員を含めて31日以上の療養が必要な病気に限定し
ています。
 会社側はこの変更案を日本郵政グループ労働組合(JP労組,約24万人)に提示
しましたが,労組は会社側の提案は労働条件の不利益変更に該当するため,回答
を保留しました。
 このように,「同一労働同一賃金ルール」の適用は,会社の人件費総額に影響
を及ぼすため,給与制度を改訂する場合には場当たり的な対応ではなく,将来の
あるべき人材像や中期人材育成計画を含めた人員計画を経営計画の一環として
再考する必要があります。
 また,改正法では給与体系を構成する基本給や家族手当,住宅手当,食事手当
等の諸手当の取扱いも正規・非正規社員間の「不合理な待遇差」にならないよう
な対策を企業に求めています。
 本来,家族手当や住宅手当などは労働とは無関係の属人的生活補助給であり,
労働の対価という観点からは必要性のない給与項目です。終戦時に導入した生活
関連手当を依然として支給している会社は,若年社員のモチベーションを低下さ
せるだけでなく,働き方の多様性を認めない会社というレッテルを貼られます。
働き方改革関連法の施行に合わせて,全従業員が納得する基本給主体の給与体系
に変更することをお勧めいたします。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

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