「改正パワハラ防止法の主旨」

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2年前に大企業を対象に施行されたパワハラ防止法(正式名称「労働施策
総合推進法」)が本年(2022年)4月1日から中小企業にも義務化されま
した。その背景には,パワハラ防止法の施行後もパワハラ被害は減少するどこ
ろか増加する一途を辿っている現状があります。
新型コロナがテレワークを加速させ社員間のコミュニケーションが取りづ
 らくなったこともパワハラ増加の原因の1つとされています。このことから
 いえるように,パワハラは本気になって防止対策を考えないと減少すること
 はないといえます。
  パワハラの定義を再確認してみましょう。「パワーハラスメントは社会的
 地位の強い者による権力や立場を利用した嫌がらせで,他者に肉体的精神
 的苦痛を与えること」と定義されます。
  具体的には職場で相手を自分の思いどおりにすることを目的に相手の人格
 を否定したり威圧的態度や否定的な言動を行ったりして相手の心身を傷つけ
 職場環境を悪化させることにつながります。これは業務上の必要性を超えて
 自己満足のために行う行為になり,被害者が「パワハラ」と感じる言動をさ
 します。
  2020年に厚労省が実施した「令和2年度職場のハラスメントに関する
 実態調査」によると,過去3年間に「パワハラを受けた」という回答が3人
 に1人いることがわかりました。その内容は「精神的な攻撃」(49.4%)が最も
 多く,次いで「過大な要求」(33.3%)という結果です。また,厚労省労働局に
 寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する2020年度における相談件数は,
97,550件に上り過去ワースト記録になっています。
  このようにパワハラ被害は増加する一方ですが,その他にもセクハラ,モラ
 ハラ,アカハラの他に育児・介護に対するハラスメントまで多岐に及んでいま
 す。
  本年4月1日から施行されたパワハラ防止法には企業が取り組むべき措置が
義務づけられました。パワハラ防止策として企業が講ずべき措置は次の4項目
です。
 (1)パワハラ防止方針の明確化と就業規則による従業員に対する周知
 (2)相談窓口の設置と適切な対応
 (3)事後の迅速な対応と再発防止策
 (4)プライバシー保護と被害者に対する不利益取扱いの禁止
 ただし,これらの措置義務を行ったとしてもパワハラ行為者の意識が変わら
ない限り,パワハラ被害はなくならないことも事実です。
 それには,使用者を含めて管理職の抜本的な教育が不可欠といえます。いく
らeラーニングで自己学習を実施しても「自分のやっているいることは常に正
しく相手の思考・行動は間違っている。だから自分が相手を教育しているんだ」
と思い込んでいる人が少なくありません。いわゆる自分中心に物事を考える人
の特徴ですが,自分の言動は「相手を自分の思いどおりにすることが目的では
ないか?」,「自分では気がつかないが時として威圧的な態度や相手を否定する
言動をとっていないか?」,「自分の言動が相手の心身を傷つけたり職場環境を
悪化させたりしていないか?」などについて謙虚に自問自答することがパワハ
ラの抑制につながると思います。
 そのうえで,職場環境を悪化させないよう各自が気をつけて行動すること
が何より大事です。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

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