「経団連副会長と連合会長の談話から見る2022春闘」

人材育成ブログ

去る2月3日,2022春闘に先立ち労使のトップが談話を発表しました。
経団連の大橋徹二副会長は春闘に臨む方針を「個別企業の業績に応じて賃上げ
とベースアップを行うべき」という経団連の従来の姿勢を述べました。
春闘の歴史は古く1955年に日本の労働組合運動として賃上げをテーマに
して行われた全国的統一闘争を総評が主導した歴史的産物といわれています。
 当初は,8単産(炭労,合化,私鉄,電産,紙パ,全金,化学,電機)が共闘
会議を組織し,その後は毎年「春闘」として定着するようになり現在に至ってい
ます。
 70年近く続いた春闘も,かつて牽引役を務めた電機労連,鉄鋼労連,私鉄総
連などは既に役割を終えています。日本の高度成長は1978年のオイルショッ
クで終焉し,その後は鈍化しながら1990年3月のバブル崩壊まで安定成長を
続けてきました。
 こうした経済社会情勢の中で,労働組合の果たす役割は次第に形骸化していき,
戦後まもなくは組織率が5割を超えた時期もありました(1949年6月の組織
率55.8%)が,現在(2021年6月現在)は16.9%まで下がりました。
 このように,労働組合の組織率が低下した背景にはかつての春闘に見るような
集団的労使交渉や労使紛争がなくなり,日本の労働組合の特徴である企業内組合,
事前協議制などに見るように,労使協調路線に舵を切る組合が増えてきたことや
ハラスメント訴訟に見られるような個別的労使紛争が多くなったという事情があ
ります。
また本年は,新型コロナウイルスの感染拡大の影響で飲食,観光,鉄道業界は
 事業の継続や従業員の雇用維持が最優先される一方,医薬,IT機器,電機通信
業界などが業績を伸ばすなど明暗がはっきり表れました。
 こうした中,経団連の大橋副会長は,今期の賃上げを一律何%という呼びかけ
はせず,個別企業の労使で決めるものと述べています。また,連合の芳野会長は,
「働きの価値に見合った賃金にすることを経団連に要請していく」という意向を
示しましたが,その意味は,高度成長期から続けてきた年功や潜在能力を基準に
決めてきた「労働」の評価軸を業績,つまり成果に応じたものに変換することを
指していると思います。
 「賃金は名称の如何を問わず労働の対価である」と労働基準法第11条に規定
されている基本概念に対する認識といえます。「労働」の中身は社会経済情勢に
より変化してきたのが日本の人事制度史です。
終戦後の「労働」はモノづくりの基本ともいえる長時間労働という時間軸で測
 れましたが,バブル崩壊後の「労働」は消費者ニーズの高い高付加価値製品やサー
 ビスという成果軸で評価するという流れです。
そして,現在の「労働」は会社の成長と発展を支える経営計画の役割といえま
す。経営計画は,個別企業の規模や人材によって決まるものです。
最後に大橋副会長が「これからの春闘は個別企業の事情に応じて決めるという
方向性は政労使とも一致している」と述べているように,個別企業の人材が努力
し収益を上げて企業を成長させ成長の果実を分配するという経済の好循環を指し
たこの言葉は労使ともに納得のいくものです。
 また,それには社員が納得できる処遇・待遇の仕組みを再構築することが必要
条件になります。

株式会社comodo
特別顧問 永島清敬

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