なぜ今,人事制度改革を行う必要があるのか?

人事制度

 株式会社comodo特別顧問・経営コンサルタント
永 島 清 敬

採用と企業が求める人材要件

採用面接

人事制度は,社員の処遇や待遇を決める仕組みのことです。
一般にサラリーマンは民間企業でも官公庁の職員であっても学校を卒業し新入社員として法人に採用され,定年まで就業することが日本の労働慣行として定着していました。
※本稿では民間企業の社員を前提に話を進めるため,ここからは「会社」や「社員」という言葉で統一します。
 しかし,会社に入社し社員として働き続けるためには労働時間や給与といった労働条件がわからないうえに入社した会社がブラック企業だったりすると,ただ働きをさせられる恐れがあります。
 したがって,会社を選ぶ場合にはブランドイメージやCM等で有名な会社だからといった安易な動機で応募すると後で取り返しのつかない(実際にはいくらでもやり直しはききます)ことになります。
 読者の中に高校や大学時代にアルバイトの経験がある人は多いと思います。例えばコンビニのバイト代は一般的に時給1,100円程度です。そして,そこで働いている人のバイト代は通常,女子高生も主婦も同じ時給です。
 一方,サラリーマンは会社によって学歴,年齢,性別や既婚か未婚かによって受け取る給与が違う会社がたくさんあります。こうした現状について,「どうして?」と思ったことはあるでしょうか?
 つまり,会社によって給与の決め方は千差万別なのです。だから,新卒者も中途入社者も採用時の初任給について,「どこでもだいたい同じ程度だから」とか「まだ仕事もしていないのに採用される前から給与や労働条件のことを訊くのは不謹慎
だ」などと思わず堂々と採用担当者に尋ねる方が後悔しないことになります。初任給や賞与などの給与項目から有給休暇の取得状況や残業の頻度,更には育児・介護休暇の取得状況ワーク・ライフ・バランスを実現するために欠かせない労働条件などについても質問をし,その回答を聴いたうえで入社を決めることが大事です。ブラックでワンマン経営の会社でない限り,今はこの程度の質問をしても誰も図々しいなどとは思わなくなったので安心してください。

人材要件の変化

 新入社員ならまだしも中途入社者であれば前職の会社の人事制度がどのような仕組みになっていたか覚えていると思います。というのも,離職者が多い会社の特徴の1つは人事制度が社員の能力や成長を促す仕組みになっていないことが理由で辞めることが少なくないからです。
 つまり,離職の上位にランクされている理由に,「仕事内容と低賃金のミスマッチ」があるということが本年4月28日に労働組合のナショナルセンターである連合の調査「(新卒の)入社前後のトラブルに関する調査」によって明らかになりました。
1990年代後半にインターネットが世界的規模で普及してから日本の産業構造が大きく変化したことがきっかけになって個別労働問題が顕在化したといえるでしょう。2020年代の今日では,デジタル技術を利用した新規ビジネスがマーケットの中心になり,企業が求める人材像もグローバル人材から自律型人材やDX人材やアジャイル人材へと進化しました。
 このように経営環境が大きく変化を遂げる中で社員の処遇を決める人事制度だけが高度成長期にできたレガシーな職能資格制度を保持し続けている企業が少なくありません。年齢と勤続という本人の努力とは無関係の要素で処遇が決まる仕組みにいつまでも固執をしていてはグローバル競争に生き残れないことは自明の理といえます。アメリカ人が日本の定昇制度の自動昇給の仕組みを見て「クレイジー」というのも頷けます。
 21世紀の採用面接では堂々と自分の労働条件を尋ねる人材こそ優秀人材なのかもしれません。
その反対に,企業の採用担当者は優秀人材を採用することにのみ神経を費やすことなく優秀人材を採用したら定着させることがミッションと考え,受け入れ態勢に必要な社員の納得性が高い人事制度を用意する必要性を感じることが採用担当者の資質といえるでしょう。企業説明会等でわが社の人事制度は合理性と納得性を兼ね備えた仕組みであることを訴えるくらいでなければ採用担当者の責任を果たしているとはいえないのです。

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