公平性より納得性を重視する理由 人事制度のお役立ち情報

人事制度

株式会社comodo特別顧問・経営コンサルタント
永 島 清 敬

人事制度の3つのコンセプト

 人事制度を構築する場合,人事制度の理念を理解して設計を行う必要があります。人事制度の理念とは,「公平性」,「公正性」,「納得性」の3つのコンセプトを指し,これらをアーキテクチャーとして構築するのが人事制度構築のポイントといえます。
 3つの理念はどれも重要なコンセプトですが,人事制度構築に当たり優先順位をつけると,納得性>公平性>公正性の順になります。
 ところが,人事制度の運用において「評価は公平で公正でなければいけない」という考えをテーマにした評価者研修を行っている会社が少なくありません。

評価者が陥りやすい落とし穴

 よく見かける評価者研修では,評価に当たり評価者が気をつけなければならない代表的な留意点について,「評価者が陥りやすい落とし穴」としてまとめた次の7項目で説明しています。
それらは「ハロー効果」,「対比誤差」,「中心化傾向」,「寛大化傾向」,「期末効果」,「論理的誤差」,「逆算」ですが,いずれも評価者の主観や思い込みで被評価者の評価を行うために陥る誤りという説明です。
 これは物事や事象を評価者の先入観で判断し評価することを注意した教訓で,これを以て「評価の公平性・公正性」が確保できると考えるのはあまりにも早計といえます。
というのは評価を行うのは生身の人間であるため,人が人を評価する場合には必ずといっていいほど好き嫌いという感情が入るからです。
 つまり,物事の判断に人の恣意が入ることはやむを得ないことなのです。こうした人間の持つ特性を度外視して「評価は公平・公正でなければならない」といっても,それは感情を持たないロボットでもない限り不可能なことです。むしろ感情を持った人が人事評価を行うからこそ評価される側の部下(被評価者)は,上司(評価者)からなるべく誤解を受けないよう注意する必要があるといえるのです。
 他方,「なぜ評価を行うのか?」という評価の本質は,評価の真の意味を理解すれば納得できるはずです。

評価を行う真の意味

 評価を行う真の意味は,部下の能力,個性,モチベーションの3つの要素を引き出し,それらを業務に生かすことによって担当業務の遂行や個人目標が達成でき,そのことを通じて部門目標の達成や全社目標の達成が可能になるからです。
簡単にいえば,評価は会社の年度目標を達成するために行う社員教育であり,最終目標は会社が持続可能な存在として社会に認められ,会社と社員が成長し発展することと定義できます。
 また,社員を評価することは社員の行動や成果を通じて社員の存在自体を認めることになります。この意味で社員が設定した目標や担当業務について期待どおりの成果や行動がとれたかについて上司は事実に基づいた評価を行う必要があります。
 このように考えると,評価は公平性・公正性よりの本人の納得性が重要であることが理解できると思います。

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