経営インフラとしての人事制度構築

人事制度

              株式会社comodo特別顧問・経営コンサルタント
                               永 島 清 敬

ビジョンと社会的意義

 すべての会社には経営ビジョンが存在します。ビジョンは経営者のめざす理想
の会社の姿と言い換えることができます。
 現代の会社は営利を追求することだけでなく,ドメインをとおしていかに社会
貢献を果たすかという社会性が求められています。つまり,会社の価値は社会
性と営利性をバランスよく追求することで初めて社会の一員として認められる時
代になったといえます。持続可能な社会に必要な存在として認められることが企
業存続の条件といえます。
 要約すると,経営者は会社をとおして自らのビジョンを実現するためにドメイン
に経営資源(人,物,金,時間,ノウハウ,ICT)を投入して利益を獲得する存
在ということができます。そして,これらの経営資源が有効に機能するためには
「人」の活用が最重要課題といえます。

あいまいな定義では人事制度は機能しない

 しかし,いくら「人材活用」が重要といっても,それを当事者に任せているだけ
では会社が前進しないことは明らかです。人材活用の仕組みが必要なのです。
 他方,今まで多くの企業を見てきた筆者が問題に思うのは,企業には定款を
初め業務分掌規程や職務権限規程等の会社規程は揃っていても,「社員や
役員の役割定義」がないことです。
 つまり,取締役,執行役員,事業部長,部長,課長,係長といった役職は命
名するものの,役職に役割定義がないため役職者のビジョンが不明確なのです。
 これでは会社に人事制度がないのと同じです。人事制度はあっても形ばかり
の飾り物でしかないのです。

 案の定,こうした会社の「職能要件書」を見ると,「部長」は「経営方針に
基づき,部門運営の責任者として部門全体を管理・統括する」などとなって
います。同様に「事業部長」は「経営方針に基づき,事業部の長として部門
運営の責任者として部門全体を管理・統括する」となっています。
 このように,一般に「職能要件書」は非常に抽象的であいまいな表現で記
述されていることが多く,機能していないのが実態です。

人事制度は経営インフラへ

 現在,経営環境は目まぐるしく変化し,昨日の「正解」が今日の「不正解」
といったことが当たり前のように起きています。こうした環境変化のスピードが
著しく速い時代においては役職者のミッションや定義も刻々と変化しています。
 一方,人事制度は時代背景に呼応し変化を遂げてきたといえますが,職能
資格制度はレガシーな「職能要件書」を立ち位置に,定期的に昇給する定昇
制度を持ち,年齢や勤続,滞留年数といった時間軸で昇進や昇格を決定す
る仕組みです。これでは世の中のニーズや環境変化についていけず,やがて
会社存続の危機に陥ることは明白です。
 役職の任用手順は,「誰を部長に任命するか?」ではなく,先ず「経営目標
を達成する役割等級定義を行い,役割定義に基づく序列づけを行った後等
級に対応する役職を決める」のが合理的な手順です。
 また従来は,人事制度構築は人事部門に所属する「人事屋」の担当業務
でしたが,これからの人事制度は経営目標を推進する手段としての役割を持
たせることが重要であるため,経営全体を俯瞰した視点で作成する必要があ
ります。
 この意味で,今後は,「経営インフラとしての人事制度を構築すること」が
グローバル競争に生き残る条件といえるでしょう。

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