労働者協同組合法の施行と多様な働き方について

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 本年10月1日から労働者協同組合法が施行されています。この法律は2年前の令和2年に成立した法律で一種の働き方改革関連法といえると思います。従来からよく耳にする若年者を地元に呼び寄せて町おこしを行う地域活性化施策やUターン・Iターンなどと同義語のように思っていました。
 法施行から1か月経った10月29日(土),厚労省と都道府県自治体共催の「労働者協同組合法周知フォーラム」を視聴しました。本号ではその時の感想についてコメントさせていただきます。
 京大教授の基調講演では労働組合が職域に根差した組織であるのに対して労働者協同組合は地域に根差した活動を行う団体であるという説明がありました。この話を聴いて,組合員の自主自発的な働き方を模索しているところに新鮮味を感じました。つまり,一般的なサラリーマンと呼ばれる人たちは企業に雇用されて企業内で要求される業務を行う被用者ですが,労働者協同組合の労働者は組合員と呼ばれていても,実際に従事する業務は自らがやりたいと思う仕事なのです。
 やりたいことを自発的に提案しトライアル的に行い,採算が合えば継続するという働き方を行っています。組合員全員が「働くこと」の意味を考えて就業機会を自らが創出しているといえます。その表れとして,組合員全員が仕事を生き生きと行っている様子がフォーラムの最後に行われたパネルディスカションのパネラーによる事業紹介のスライドで確認することができました。
 よく企業では「仕事はやらされていると思うと長続きしない。自主的にやってこそやりがいも生まれる」と言いますが,なかなかその言葉どおりに実践できている社員がいないことも現実です。ところが,労働者協同組合は意見反映を基本原理とした非営利組織で,仕事を通した地域づくりを目的にしています。そのため企業エゴが入り込む余地がない分「働くこと」の原点に立った活動といえるのだと思います。

 他方,立法化するまでの約40年間,日本の各地で「労働者協同組合」という名称がついていない非営利コミュニティ(共同体)が数多く存在します。これらの組織は今年になってようやく労働者協同組合法が施行されたことで市民権を獲得したといえます。それまでは自閉症や引きこもりで社会に出られなかった青少年が地域の仲間に誘われたことがきっかけで社会に認められる仕事に従事するようになった事例もありました。
 本年の立法化をきっかけにして「日本は先進国の中で最も社会的孤立度が高い国」と呼ばれる不名誉な現状を変えて,誰でもが無理なく働けて「仕事が楽しいから続けられる」と思えるような社会に変えていく必要があると感じました。

株式会社comodo特別顧問・経営コンサルタント 永島 清敬

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