企業が持続的な成長を遂げるためには、明確な方向性と目的を定め、それを全社員が共有し実行することが欠かせません。
そのために有効なのが「企業ピラミッド」というフレームワークです。
企業ピラミッドは、企業の理念から現場の具体的な行動に至るまで、組織内の全レイヤーで一貫性を持たせるための考え方です。
本記事では、企業ピラミッドの構造とその活用法、さらに企業ピラミッドを通じてビジョンを策定する重要性について深掘りしていきます。
企業ピラミッドとは?構成する3つの層

企業ピラミッドは、組織の活動を整理するためのフレームワークであり、組織内の各レイヤーを3つの主要な層に分けて考えます。
- WHY
- WHAT
- HOW
これにより、企業の理念や長期的なビジョンを、具体的な戦略や行動に落とし込み、組織全体で統一感のある方向に進むことが可能になります。
以下で、それぞれのレイヤーの考え方について解説します。
WHY(なぜ私たちは存在するのか?)
企業の最上位に位置するのが「WHY」、つまり企業の理念や創業者のビジョンです。
企業が存在する意義、社会的な役割、どのような価値を提供するのかという根本的な部分がここに含まれます。
この「WHY」を明確にすることで、社員一人ひとりが企業の存在意義を理解し、やりがいを感じながら仕事に取り組むことができます。
この部分が不明確であれば、企業の活動全体が迷走する可能性があります。
WHAT(何を目標にするのか?)
2つ目のレイヤーに位置するのが「WHAT」です。
WHATでは、企業が追い求める具体的な目標や事業戦略が示されます。
企業は「WHY」に基づき、どのような事業目標を設定し、どのような戦略を採用するべきかを明確にしなければなりません。
この段階では、企業のビジョンを実現するために必要な具体的な方向性や事業目標を策定します。
HOW(どう実現するのか?)
最下層には「HOW」、具体的な実行計画や現場スタッフの行動指針があります。
企業の上層で設定された戦略や目標を現場でどのように実行に移すのかを示す部分です。
例えば、営業戦略、製品開発、マーケティング活動など、企業の目標を達成するための具体的な手段や方法論がここに集約されます。
この「HOW」の層が効果的に機能しない限り、上層で設定された目標や戦略は絵に描いた餅になってしまいます。
企業ピラミッドを用いた組織の運営

企業ピラミッドは、組織全体の活動がどのように連動し、上位の目標が下位にどのように伝播していくかを示しています。
このピラミッドのように構造的に整理されたフレームワークを使うことで、企業は全員が同じ方向に向かって進むことを確実にします。
企業の活動は、最終的に現場スタッフによって実行されるため、最上層の理念やビジョンが下位層にどのように反映されるかが重要です。
以下では、企業ピラミッドを用いた組織運営のポイントについて解説します。
従業員全員に徹底できるか?
企業ピラミッドを使う際に重要なのは、各レイヤーがどれだけ徹底されているかです。
経営層が定めた「WHY」や「WHAT」が現場に浸透し、現場スタッフがその意図を理解し、実行することが求められます。
逆に、現場での行動が経営層の意図に沿わない場合、組織全体がバラバラな方向に進んでしまう可能性があります。
経営層と現場スタッフの役割の明確化
企業ピラミッドのもう一つの利点は、経営層と現場スタッフの役割を明確化できる点です。
経営層は「WHY」と「WHAT」を設定し、組織の全体的な方向性を定めます。
一方で、現場スタッフは「HOW」を実行に移す役割を担い、戦略を具体的なアクションとして展開します。
役割を分担することで、経営層のビジョンと現場での実行が一貫性を持ち、効率的に業務を進めることができます。
企業ピラミッドから考えるビジョンの重要性

企業ピラミッドを活用する上で特に重要なのは、最上層に位置する「WHY」、つまり企業のビジョンです。
ビジョンがしっかりと定まっていない場合、企業はどの方向に進むべきかが分からず、迷走してしまう恐れがあります。
ビジョンは企業の存在意義を示し、社員に共感を生み出し、やりがいを提供するものです。
ビジョンの力が組織に与える影響
明確なビジョンを持っている企業は、社員全員がそのビジョンを共有し、日々の業務に取り組むことができます。
ビジョンが社員一人ひとりの行動指針となり、モチベーションを高め、組織全体の一体感を生み出します。
また、ビジョンは企業の戦略決定にも大きな影響を与え、どの市場に進出するか、どの製品を開発するかといった重要な意思決定を支える要素となります。
ビジョンを実現するための戦略の策定
ビジョンはあくまで「理想の姿」を示すものであり、その実現には戦略が必要です。
企業ピラミッドの「WHAT」層で設定された戦略が、ビジョンを実現するための道筋となります。
具体的な事業目標や戦略を設定し、各部門がその実現に向けて取り組むことで、ビジョンが現実のものとなります。
企業ピラミッドに欠かせないビジョン

企業ピラミッドは、組織内での一貫した方向性を保ち、全員が同じビジョンに向かって進むための強力なツールです。
企業の理念やビジョンを明確にし、それを現場の行動に落とし込むことで、組織全体の一体感を高め、業績向上に繋げることができます。
しかし、多くの企業がつまづいてしまうのは「ビジョンの策定」です。
記事でも解説したように、ビジョンは明確なものでなければなりません。
そのためにも、ビジョンの策定には注力をする必要があります。
弊社ではビジョン策定の「ビジョン・ブラッシュアップ」研修をおこなっています。
明確なビジョンを策定し、業績向上につなげたい企業は、ぜひご相談ください。

株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)