企業戦略の選択肢を広げるフレームワーク「デルタモデル」

企業が競争優位を確立するためには、明確な戦略を策定し、それを実行することが不可欠です。

しかし、戦略立案においては、企業ごとに強みや市場の状況が異なるため、最適なアプローチを選ぶことが重要です。

デルタモデルは、こうした課題に対して有効なフレームワークであり、企業がどのように戦略を選択するかを3つの方向性から助けるツールとして広く活用されています。

この記事では、デルタモデルの概要とその適用方法、そしてデルタモデルを活用したビジョンの策定方法について詳しく解説します。

目次

デルタモデルの基本概念

デルタモデルの基本概念

デルタモデルは、MITスローン経営大学院のアフリッド・C・ハックスディーニとハンセム・ディーン・L・ワイルドによって考案され、企業が戦略的な方向性を選択するための枠組みです。

このモデルは、企業が直面する競争環境を乗り越えるために3つの主要な戦略的方向性を提供し、SWOT分析と組み合わせることで効果的な戦略立案が可能となります。

デルタモデルでは、以下の3つの戦略方向性に焦点を当てています。

  • システムロックイン(市場を独占状態にする戦略)
  • トータルカスタマーソリューション(顧客満足度を最重要視する戦略)
  • ベストプロダクツ(製品やサービスの優位性を活かす戦略)

これらの方向性は、それぞれ異なるアプローチで競争優位を獲得する方法を提供します。

どの戦略を選ぶかは、企業のリソースや市場の状況、競争環境に応じて決定されます。

システムロックイン(市場を独占状態にする戦略)

システムロックインは、企業が市場で唯一無二の存在となり、競争を排除する戦略です。

具体的には、製品やサービスが他社のものと比較して技術的に優れているか、もしくは製品を使用するために顧客が他の競合製品を使うことが難しくなる状況を作り出します。

例えば、MicrosoftのWindowsやAppleのiOSのようなソフトウェアのように、製品が業界標準として広く採用されることにより、他の競合が市場に入ってくる障壁を作り上げます。

システムロックイン戦略は、製品やサービスの使用を特定の基準に結びつけ、他社が追随できないようにすることに焦点を当てます。

これにより、企業は市場での優位性を長期間維持することが可能になるのです。

トータルカスタマーソリューション(顧客満足度を最重要視する戦略)

トータルカスタマーソリューションは、顧客の多様なニーズに対応するために、製品やサービスを単独で提供するのではなく、顧客が求める包括的な解決策を提供する戦略です。

この戦略の中心は、顧客の満足度を最大化することです。企業は、顧客が直面している問題に対して全方位的なソリューションを提供することで、他社と差別化を図ります。

トータルカスタマーソリューションでは、単に製品を販売するのではなく、顧客のライフサイクル全体を見据えたサポートやアフターサービスが含まれることが多く、顧客が長期的に満足できるような価値を提供します。

ベストプロダクツ(製品やサービスの優位性を活かす戦略)

ベストプロダクツ戦略は、製品やサービスそのものの品質に焦点を当て、競合他社を凌駕する優れた製品を提供することによって競争優位を獲得する戦略です。

この戦略では、企業は製品の革新性、性能、デザイン、価格競争力などの側面で他社よりも優位性を持つことを目指します。

製品やサービスの差別化を図るために、企業は市場において最高の品質を提供し、顧客がその製品を選ぶ理由を作り出します。

これにより、価格競争に巻き込まれずに高い利益率を確保できます。

デルタモデルを活用したビジョンの策定方法

デルタモデルを活用したビジョンの策定方法

デルタモデルは、企業戦略を選択するためのフレームワークとして有効ですが、ビジョンを策定する際にも役立ちます。

ビジョンは企業が目指す理想的な状態を示すものであり、戦略がどの方向性で進むべきかを定める重要な要素です。

市場環境を理解し、戦略方向性を選ぶ

ビジョン策定の最初のステップは、市場環境を理解することです。

デルタモデルの3つの戦略方向性(システムロックイン、トータルカスタマーソリューション、ベストプロダクツ)の中から、自社に最適な方向性を選択することが求められます。

市場のニーズや競争環境を分析し、どの戦略が自社にとって有益かを判断します。

SWOT分析を活用して戦略的選択を支える

SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)を活用することで、どの戦略が自社のビジョンに最も適しているかを明確にできます。

自社の強みを活かし、市場での競争優位を築くために、デルタモデルの方向性をどのように取り入れるかを検討します。

ビジョンを現実的な目標に落とし込む

ビジョンが決まったら、それを現実的な目標に落とし込みます。

デルタモデルを基にした戦略方向性を選択し、その戦略が実現するための具体的なアクションプランを策定します。

これにより、長期的なビジョンが短期的な行動に結びつき、組織全体での協力が生まれます。

デルタモデルを活用して強力なビジョンを

デルタモデルを活用して強力なビジョンを

デルタモデルは、企業がどの方向性で競争優位を築くかを選ぶための強力なフレームワークです。

このモデルは、市場の競争環境に応じた最適な戦略を選択し、企業のビジョンを実現するための道筋となります。

ビジョン策定においては、デルタモデルを活用することで、企業が自らの強みを活かし、競争の中で成功を収めるための確かな道筋を描くことができます。

しかし、デルタモデルを活用してもビジョンの策定が難しく感じるケースもあるかと思います。

そのような場合は、外部の専門家へ依頼することもおすすめします。

弊社では「ビジョン・ブラッシュアップ」研修を行っておりますので、ビジョンの策定、見直しなどをする場合にはぜひご活用ください。

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株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)

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