革新的なアイデアや技術は、必ずしも同じ分野の知識や経験から生まれるとは限りません。
むしろ、まったく異なる分野から着想を得ることで、これまでにない発想が生まれることが多いのです。
このような発想を支援するのが「アナロジー(類推・類比)」と、それを発展させた「シネクティクス」です。
本記事では、アナロジーとシネクティクスの基本的な仕組みとその活用方法を解説し、さらにビジョンの策定に応用する方法について詳しく紹介します。
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アナロジーとは?

アナロジーとは、あるものと別のものの類似点に着目し、それを活用して新しいアイデアを生み出す手法です。
たとえば、飛行機の翼が鳥の羽の構造を参考に設計されているように、異なる領域の特性を応用することで、革新的な技術やアイデアが生まれます。
アナロジーの活用は、次のようなメリットをもたらします。
- 発想の幅が広がる
- 問題解決のヒントになる
- 既存の概念を超えられる
アナロジーは、製品開発だけでなく、ビジネス戦略の立案や組織改革など幅広い分野で活用可能です。
シネクティクスとは?

シネクティクスとは、アナロジーの考え方を発展させた発想技法で、「異質なものを結びつける」ことを意図的に行う手法です。
この概念は、アメリカのハーバード大学の心理学者ウィリアム・J・ゴードンによって提唱されました。
シネクティクスの特徴は、発想を拡張し、意外性のあるアイデアを生み出すことにあります。
具体的には、次の4つのアプローチを用いてアナロジーを活用します。
ダイレクト・アナロジー(直接類推法)
対象となるものと類似する別のものを探し、その特性を転用する方法です。
たとえば、魚の形状をヒントにして流線型の新幹線を設計するなど、自然界の特性を取り入れることが多いです。
パーソナル・アナロジー(主観類推法)
対象と自分を同化させ、その視点からアイデアを得る方法です。
たとえば、「自分がAI(人工知能)だったら、どんな風に情報を処理するか?」と考えることで、AIの改善策を思いつくことができます。
シンボリック・アナロジー(象徴類推法)
抽象的な概念や比喩を使い、新しい視点を得る方法です。
たとえば、「組織の強化」を考える際に、「木の根を張るように社員の成長を促す」といった比喩的な表現から着想を得ることができます。
ファンタジー・アナロジー(空想類推法)
現実の枠を超え、自由に発想を広げる方法です。
「もしも〇〇だったら?」といった仮定を設定することで、固定観念を取り払った発想が可能になります。
アナロジーとシネクティクスを活用したビジョンの策定方法

アナロジーとシネクティクスは、新しい市場を創出したり、未来のビジョンを描く際にも有効です。
以下では、これらの手法を活用したビジョン策定の流れを紹介します。
1.現状の課題を整理し、ビジョンの方向性を定める
最初に、企業の現状を分析し、どのようなビジョンを描くべきかを考えます。
この段階では、以下の視点で整理を行うと効果的です。
- 内部環境:自社の強みや競争優位性
- 外部環境:市場トレンド、競争環境の変化
- 未来の展望:技術革新や社会の動向
2.アナロジーを活用し、新たな視点でビジョンを発想する
次に、アナロジーを活用し、新しい視点でビジョンを考えます。
たとえば、他業界の成功事例を参考にすることで、自社の成長戦略のヒントを得ることができます。
3.シネクティクスを活用し、ビジョンを拡張する
シネクティクスを用いて、さらに発想を広げます。
具体的には、ダイレクト・アナロジーで自然界の特性を転用したり、ファンタジー・アナロジーで未来の可能性を探るといった手法が有効です。
4.具体的な戦略に落とし込み、ロードマップを作成する
最後に、発想したビジョンを実現可能な戦略に落とし込みます。
KPI(重要業績評価指標)を設定し、短期・中期・長期の目標を定めることで、実行可能なビジョンへと変えていきます。
固定観念にとらわれないビジョンの策定

アナロジーとシネクティクスは、固定観念を打破し、これまでにない発想を生み出すための強力な思考ツールです。
特に、ビジョン策定においては、他分野の成功事例や自然界の法則を応用することで、新たな未来像を描くことができます。
企業が長期的な成長を目指すためには、異なる視点を持つことも必要です。
アナロジーとシネクティクスを活用し、今までにない未来のビジョンを構築してみましょう。
しかし、どうしても自社だけではこれまでのイメージに引っ張られてしまう傾向があります。
そのため、ビジョンの策定に外部に頼ることも検討してみてください。
弊社では「ビジョン・ブラッシュアップ」研修をおこなっていますので、ぜひ斬新で新しいビジョンを策定する際にご相談ください。

株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)