企業が効率的に業務を運営し、持続的な成長を遂げるためには、業務プロセスの改善と標準化が不可欠です。
そのための効果的な手段として「成熟度モデルの6段階」が広く活用されています。
このモデルは、組織の業務レベルを評価し、改善のための段階を明確にするためのフレームワークとして機能します。
本記事では、成熟度モデルの6段階を解説し、それぞれのレベルで求められる改善の方向性について解説します。
また、後半ではこのモデルを活用したビジョン浸透の方法についても触れているので、最後までお読みください。
成熟度モデルの6段階とは

成熟度モデルの6段階は、業務プロセスの改善を段階的に進め、最終的には業務全体が効率的に運営される状態を目指すフレームワークです。
組織がどのレベルに位置しているかを把握することで、改善活動の方向性が明確になります。
このモデルでは、業務プロセスの標準化と改善のために、以下の6つのレベルを設定しています。
レベル0:無策(未整備)
最初の段階は「無策」です。
この段階では、業務プロセスの標準化や改善が全く行われていません。
組織内の業務は無秩序で、個別のスタッフやチームが独自の方法で業務を進めている状況です。
全体的な方針や統一感が欠けており、業務の効率性は非常に低い状態です。
このレベルでは、まず業務プロセスが整備されていないことを認識し、基本的な改善が必要となります。
レベル1:個別対応
「個別対応」レベルでは、業務の必要性が認識され、個別の部門やスタッフが改善に取り組み始める段階です。
組織全体で統一された基準や方法論が欠如しているため、業務改善が各部門でバラバラに行われています。
この段階では、各チームが独自に手順や方法を決定し、それを試行錯誤することが多いです。
業務の効率化や標準化にはまだ至っておらず、各部門が個別のアプローチで改善を進めるため、成果は限定的です。
しかし、業務改善の必要性が認識されたことは進展といえるでしょう。
レベル2:一部分対応
次に進むのが「一部分対応」の段階です。
このレベルでは、業務改善が組織全体ではなく、一部の業務やプロセスに限られて行われています。
標準化に向けての取り組みが進み、ある程度は業務フローが整理されつつありますが、全員が共有している状態ではありません。
この段階では、複数の部門が協力して改善に取り組む姿勢が見られ、標準化の一歩手前まで進んでいます。
しかし、完全な共有には至っておらず、全体の調和が取れていないため、さらなる改善が必要です。
レベル3:標準化・初期段階
「標準化・初期段階」のレベルでは、業務の標準化が進み、手順書やガイドラインが文書化されて全員に共有されます。
この段階では、スタッフ全員が統一された業務プロセスに従い、一定の成果を上げ始めています。
しかし、改善活動はまだ初期段階にあり、継続的な改善が必要です。
業務の基盤は確立されていますが、さらに洗練されたプロセスや手順が求められます。
改善を継続的に行いながら、全体的な効率化を目指す段階です。
レベル4:モジュール実施
「モジュール実施」の段階では、業務プロセスがさらに進化し、いくつかの部門やプロセスでモジュール化が進んでいます。
業務改善が組織全体に広がり、標準化されたプロセスが一部で実施され、さらにそのプロセスがモジュール化されて細かい部分で管理されています。
改善が常にモニタリングされ、成功したプロセスが他の部分に適用されるようになり、組織全体の業務改善が一貫して進行します。
この段階では、スタッフ全員が一貫した手順で業務を実施し、業務の効率性が大幅に向上します。
レベル5:最適化完了
最上級のレベルが「最適化完了」です。
この段階では、業務プロセスが完全に標準化され、全スタッフが一貫したプロセスに従っています。
業務改善が繰り返し行われ、最も効率的で効果的な方法が確立されているでしょう。
すべての業務プロセスが最適化され、組織全体がその状態を維持しています。
最適化完了段階に到達すると、組織は外部環境の変化にも柔軟に対応でき、業務の品質と生産性が高いレベルで維持されます。
この段階では、業務プロセスの改善が定期的に見直され、次のレベルへの進化が常に求められます。
成熟度モデルを活用したビジョン浸透の方法

成熟度モデルの6段階を活用することで、組織のビジョン浸透を効率的に進めることができます。
ビジョンの浸透は、単に理念や目標を掲げるだけではなく、組織全体でそのビジョンを実現するために業務プロセスを整え、改善し続けることが重要です。
以下で、それぞれに対しての具体的な内容について解説します。
1. 認識の段階でビジョンを共有する
最初に行うべきは、ビジョンを全員で共有し、組織全体の認識を一致させることです。
レベル1やレベル2の段階では、ビジョンの重要性を強調し、業務改善がビジョン達成にどう繋がるかを明確に伝えることが重要です。
この段階では、ビジョンに対する理解と共感を広げます。
2. 標準化と初期段階での実践
ビジョン浸透を進めるために、業務の標準化を進めるとともに、スタッフ全員がビジョンに沿った行動を取ることが求められます。
レベル3においては、業務プロセスを文書化し、手順を標準化することがビジョン実現の第一歩です。
ビジョンを日常的に実践するための手順や行動指針を整備することが重要です。
3. 改善と適応を繰り返す
ビジョン浸透には、継続的な改善と適応が不可欠です。
レベル4とレベル5では、業務の最適化が進む中で、ビジョンが組織全体に浸透し、実行段階においてもそのビジョンに基づいた行動が取られます。
これにより、ビジョンが現実のものとなり、組織全体でそのビジョンを共有する文化が根付くことになります。
ビジョン浸透のために明確なビジョンを

成熟度モデルの6段階は、組織の業務プロセスを評価し、改善を促進するための強力なツールです。
このモデルを使用することで、組織は業務レベルを向上させ、ビジョン浸透を効率的に進めることができます。
しかし、前提として明確なビジョンも必要です。
弊社ではビジョンを策定する「ビジョン・ブラッシュアップ」研修をおこなっています。
ビジョン浸透の前に、まずはビジョンを見直すところ、策定するところから始めてみましょう。

株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)