消費行動を読み解く「AISAS理論」とは?ビジョン策定への応用も

AISAS(アイサス)理論とは、2005年に電通が提唱した消費者行動モデルで、ネット社会における購買プロセスを分析するフレームワークです。

従来の「AIDMA(アイドマ)」に代わる形として登場し、検索エンジンやSNSといったデジタル行動を含む点が特徴です。

AIDMAが「注意→興味→欲求→記憶→行動」という5段階で構成されていたのに対し、AISASは「注意→興味→検索→行動→情報共有」という順序で消費者心理を捉えます。

情報のインプットだけでなく、アウトプット(共有)までも組み込んだ点が、現代的な進化といえます。

本記事では、AISASの考え方やビジョン策定に応用する方法について解説します。

目次

AISASの5ステップとその意味

AISAS理論は、消費者の心理的な動きを5つのステップに分解して捉えるフレームワークです。

各ステップは現代の購買行動に即しており、マーケティング設計の土台としてだけでなく、企業のコミュニケーション設計やブランドの浸透戦略にも応用が可能です。

ここでは、それぞれの段階がどのような意味を持ち、どんな行動につながるのかを詳しく見ていきましょう。

1. Attention(注意)

まず、消費者は広告やSNS、ニュース記事などによって商品やサービスの存在を知ります。

テレビCMやWeb広告など、さまざまなメディアを通して「注目」を集めるのがこのステージです。

2. Interest(興味・関心)

次に、興味を持った消費者はその商品に対して「もっと知りたい」と感じます。

この段階では、ブランドイメージや見た目、キャッチコピー、ベネフィット訴求などが「気になる」きっかけになります。

3. Search(検索)

AIDMAにはなかった要素が、「Search(検索)」です。

現代の消費者は、興味を持った商品をすぐにスマートフォンやPCで検索します。

価格や口コミ、レビューサイト、公式ページなどを調べ、「本当に買っても大丈夫か」を自ら判断しようとします。

4. Action(行動)

検索により十分な納得感を得た消費者は、オンラインショップや実店舗で実際の購買行動を起こします。

ネット購入だけでなく、店頭での確認・比較なども含まれます。

5. Share(情報共有)

AISAS最大の特徴が「Share(情報共有)」です。

購入後の感想や満足度、不満などを「SNS・ブログ・レビューサイト・友人との会話」を通じて発信するのです。

このシェア行動が他の消費者の「Attention」を喚起し、AISASの循環を生み出します。

AISASをビジョン策定に応用する考え方

AISASをビジョン策定に応用する考え方

AISASは本来、消費者の購買行動を読み解くためのマーケティングモデルですが、その構造は「理念が人に届き、共感を生み、行動につながり、やがて他者へ伝播していく」というプロセスにも重ね合わせることができます。

現代のビジョン策定では、単なる理念の掲示ではなく、いかに人の心を動かし、行動や文化として根づかせるかが問われています。

ここでは、AISASの5ステップをもとに、ビジョンが人に届き、組織や社会に浸透していくプロセスを設計する視点について考察します。

なぜマーケティング理論がビジョン策定に役立つのか?

ビジョンとは、企業やブランドが目指す将来像です。

一般的にビジョンは「社内に向けた方針」や「経営哲学」として語られがちですが、AISASの視点を取り入れることで、社外への共感設計にも活用できます。

なぜなら、AISASの5つのステップは、顧客の無意識な選好や関心の変化を捉えた構造だからです。

この構造をビジョン策定の設計図として転用することで、「伝わるビジョン」を構築するためのヒントが得られます。

各ステップをビジョンに変換する思考法

各ステップをビジョン設計の文脈に置き換え、どのように応用できるかを具体的に見ていきましょう。

Attention(注目)

自社のビジョンに、誰がどんな場面で「気づくか」を意識します。社名、タグライン、ロゴ、ミッション文などで目を引ける設計か?

Interest(興味)

ビジョンの中に共感ポイントはあるか。利他的・社会的な価値観、ストーリー性、時代との接続が求められます。

Search(検索)

顧客・従業員がビジョンに共感した後、さらに深掘りしたくなる要素があるかどうか。具体的な行動指針やブログ、ドキュメンタリーなどの情報設計が必要です。

Action(行動)

ビジョンを知った人が「応援したくなる」「働きたくなる」と思う仕組みがあるか。ブランド体験、採用広報、パートナー施策などが該当します。

Share(情報共有)

社員や顧客が「語りたくなるビジョン」になっているか。SNSや紹介、メディアなどで自然発信が起こる設計を意識することで、ビジョンが文化となって広がっていきます。

AISASはマーケティングだけでなく、共感設計にも応用できる

共感

AISAS理論は、ただの購買行動モデルではありません。

AttentionからShareまで、現代の消費者がどのようにして商品を知り、選び、共有していくかという「物語の流れ」を示すものです。

この構造を、自社のビジョン策定やブランド構築に応用することで、単なる理念の掲示ではなく、行動を生み出すストーリーとして設計することが可能になります。

そのほかにも、ビジョンに応用できる考え方はいくつもあります。

弊社でもビジョンの策定をサポートしていますので、ぜひご相談ください。

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石垣敦章(イシガキ ノブタカ)

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