ビジョンはまれに「夢」と混同して作られてしまうケースがあります。
確かにビジョンは将来的な目標であるため、ある意味では「夢」ともいえるでしょう。
しかし、厳密にはビジョンと夢は大きく異なります。
今回の記事では、夢とビジョンの違いについて解説します。
ビジョンと夢の明確な違い
ビジョンと夢は、決して同じ意味ではありません。
個々で「夢」をどのように捉えるかによっても異なりますが、本記事においては「夢は実現しない理想」という意味合いで進めていきます。
ビジョンは実現可能:夢は実現不可能
ビジョンと夢では、実現できるかどうかの大きな違いがあります。
ビジョンは実現可能な目標を定めますが、夢は「なれたらいいな」という理想です。
そのため「社会のために貢献したい」といったビジョンは、ビジョンではなく夢といえます。
ビジョンは具体的:夢は抽象的
ビジョンと夢の違いには、具体的か抽象的かの違いもあります。
ビジョンは基本的に数年後に達成する目標を定めるため、具体性があります。
一方で夢は、何年後に達成するかを定めない「いつかなれたらいいな」程度のものです。
リアリティーのない願望のようなビジョンは、ビジョンではなく夢だと考えてください。
ビジョンは組織:夢は個人
ビジョンと夢では、共有する対象も異なります。
基本的に、夢は個人が持つもので、他人と共有するものではありません。
「会社一丸となって〇〇という夢に向かう」のような言葉もありますが、これはあえて「夢」という言葉を使っているだけで、正確に言うのであれば「目標」であり、夢ではないといえます。
対して、ビジョンは、企業全体が同じ方向を向くために定めるものです。
そのため、ビジョンは組織向け、夢は個人向けといえるでしょう。
企業として夢を意識すべきか?ビジョンを意識すべきか?
企業として、夢を意識するのもビジョンを意識するのも、どちらも正解とは言えません。
どちらにも、メリット・デメリットがあります。
これらは自社の色によって異なるので、以下を参考にビジョンと夢どちらを重視すべきか検討してください。
ビジョンを意識するメリット・デメリット
ビジョンを意識するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
- メリット…組織として同じ方向を向ける・具体的な行動に落とし込める
- デメリット…個々の行動に差が出る・モチベーションが上がりにくい
夢を「理想」という前提で考えるのであれば、上記のようなメリット・デメリットがあります。
企業として、また、組織として強化していくのであれば、同じ方向を向いて具体的な行動に落とし込めるビジョンを意識すべきです。
夢を意識するメリット・デメリット
夢を意識するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
- メリット…イメージが浮かびやすい
- デメリット…行動に落とし込みにくい・理想で終わる可能性が高い
企業の場合、夢を意識してしまうとデメリットの方が多いです。
しかし、昨今では個人の働きやすさも注目されているので、ウェルビーイングを強調するのであれば、あえて夢を意識するのも間違いではありません。
夢とビジョンを無理に分ける必要はない
夢とビジョンの違いについて解説してきましたが、夢とビジョンをハッキリと区別する必要はありません。
なぜなら、ビジョンは夢から生まれるからです。
抽象的な大きな夢を掲げたら、その夢を達成するにはどういった行動をすべきか?何が必要なのか?数年後にどういった会社であるべきか?などを考えていくと、ビジョンができあがります。
つまり、夢を意識しなければビジョンを描いても意味がないのです。
「夢のためにビジョンがある」「ビジョンの先に夢がある」といった、両立する意識をもっておくと良いでしょう。
組織としてビジョンの精度を高める
今回解説したように、夢とビジョンをハッキリと分ける必要はありません。
夢を達成するにはビジョンが必要なので、どちらの考えも必要です。
だからこそ、今のビジョンを明確にしておかなければいけません。
弊社では、ビジョンをブラッシュアップする「ビジョン・ブラッシュアップ」を行っております。
もし、現在掲げているビジョンが「夢」に近かったり、抽象的な内容であったりする場合は、ぜひ一度ご相談ください。
株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)
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