理念経営とは、会社の定めた理念を軸に経営を進めていく方法です。
昨今では「理念」の重要性が世の中に広がっており、理念経営を進めていこうと考える企業も多いでしょう。
しかし、理念経営にはデメリットもあります。
本記事では、理念経営のデメリットや回避方法について解説します。

理念経営の大きな4つのデメリット

理念経営には、大きく4つのデメリットがあります。
- 理念浸透に時間がかかる
- 理念浸透の期間は成果が見えない
- 離職者が出る可能性がある
- 理念の内容によっては成果が出ない
理念経営は「理念をつくったから成果が出る」という簡単なものではありません。
わかりやすく社員が実践できる理念をつくり、それを浸透させることで、やっと成果が、見えてくるのです。
端的に言えば、理念の浸透が進まなければ、成果は出ません。
以下では、なぜこれらのデメリットが生まれる理由について解説します。
理念浸透までに時間がかかる
理念経営の重要な点は、理念浸透にあります。
理念が社員に浸透しなければ、理念経営は成功しません。
しかし、理念浸透には多くの時間を要します。
社員数の少ない企業で半年以上、社員数が多ければ多いほど、理念が全体に浸透するまでには時間がかかるでしょう。
そのため、理念を決めてからはまず、理念浸透活動に注力しなければなりません。
理念浸透活動は多岐にわたるため、浸透活動だけで多くの時間をとられてしまいます。
理念浸透の期間は成果が見えない
理念経営の土台となる理念浸透活動の期間は、売上や採用などの成果が見えません。
なぜなら、理念経営は、理念が浸透してから成果が見えるものだからです。
理念が浸透する前の段階では、全社員の団結力や推進力は生まれません。
理念経営の軸は、全社員が同じ方向を見て進むことにあります。
理念が浸透しきっていない段階では、まだ同じ方向を見て進める状態ではないため、成果に結びつかないのです。
離職者が出る可能性がある
理念浸透活動を進める上で、離職者が出る可能性があります。
理念を定めるということは、新しいルールを定めることと同じです。
そのため、理念に共感できない人材は会社を離れていくリスクがあります。
しかし、この時点の離職についてマイナスに考える必要はありません。
同じ方向を見れない社員が残り続けても、団結の輪を乱すだけです。
一時的に離職者が増える可能性はありますが、理念経営を成功するために乗り越えるべき壁といえます。
理念の内容によっては成果が出ない
理念経営を成功させるうえで最も重要な点が、理念の言語化です。
言語化が上手くいかず、社員に伝わりにくい内容になってしまえば浸透活動もうまくいきません。
たとえば、抽象的すぎる理念や大きすぎる理念がよくある例です。
これらの理念は、社員が自分事と捉えることができません。
理念浸透を加速させるためには、できるだけわかりやすい表現に落とし込みましょう。

理念経営のデメリットを回避する方法

理念経営のデメリットを100%回避することはできません。
いずれのデメリットも、理念経営を進めていくうえで必ずと言っていいほど起きます。
しかし、デメリットによるリスクを最小限に留める方法はあります。
わかりやすい理念を策定する
理念は、社員が共感しやすく、かつわかりやすい言葉で策定しましょう。
難しかったりわかりづらかったりする内容では、社員が自分事に置き換えられないからです。
反対に、わかりやすく自分事と捉えられる理念であれば、社員はすぐに実践できる状態になります。
理念の策定方法については、専門家の手を借りるのも良いでしょう。

理念策定で社員を巻き込む
社員が腑に落ちやすく、実践しやすい理念にするためには、社員の巻き込みが必要です。
社長や役員だけで決める理念では、社員が自分事として捉えられません。
社員も一丸となり策定した理念であれば「自分が決めたもの」として実践しやすくなります。
理念は会社全体のものですから、上層部だけで決めずに、社員を巻き込むようにしてください。
理念浸透活動を社長が推進する
理念浸透活動では、社長が積極的に呼びかけをおこないましょう。
理念や浸透活動の方針を決めるだけでは、本当の意味での浸透はされません。
社員としては「また社長が何か新しいことを始めた」程度にしか思わないでしょう。
そのため、社長自らが本気で改革をおこなっているという気持ちを伝え続けなければいけません。
理念経営で忘れてはいけない大切なこと

理念経営を成功させ、デメリットによるリスクを最小限におさえるためには、以下の2つを忘れないでください。
- 理念経営は会社全体でおこなう
- 理念は価値観や行動に紐づいている必要がある
これらを忘れずに進めていけば、大きく失敗することはありません。
理念経営は会社全体でおこなう
理念経営は、社長や役員だけでおこなうものではありません。
社員も一丸となることで、やっと「理念経営」と呼べるものになります。
そのために、理念浸透活動が必要になるのです。
上層部だけで理念を決めたり方針を決めたりせず、会社全体でおこなうという意識を忘れないようにしましょう。
理念は価値観や行動に紐づいている必要がある
理念は、大きな目標を掲げれば良いわけではありません。
抽象的な大きな内容では、社員に響かないからです。
大事なのは、その理念をもって行動に落とし込めるかどうかです。
そのため、価値観や行動に紐づいている必要があります。
理念経営の土台として「言語化」を大切に
理念経営にはさまざまなデメリットがあります。
しかし、適切に進めていけばデメリットによるリスクを最小限におさえられるでしょう。
そのために、まずは土台となる「理念策定」に目を向けてみてください。
弊社ではビジョンブラッシュアップ研修をおこなっています。
理念の言語化が上手くいかない、または客観的な視点で作成したいなどの場合はぜひご相談ください。


