ビジョンを策定しようとしても、良い案が浮かばずに悩んでいませんか?
そこで、今回は参考となる有名企業のビジョンを紹介します。
例を参考にしてビジョン策定に活かしてください。
有名企業のビジョン例:日産自動車株式会社「Nissan Ambition 2030」
『日産自動車株式会社』では、経営ビジョンを「Nissan Ambition 2030」として掲げています。
具体的には、2030年までに以下のビジョンを達成するとしています。
- 今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速
- 2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大
- 全固体電池を2028年度に市場投入
参考:日産自動車、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表
数ある企業のなかから、『日産自動車株式会社』の具体例を紹介したのは、最もわかりやすく伝わるビジョンだからです。
以下で、本ビジョンのどのような部分がわかりやすいのか解説していきます。
参考にしながら、ビジョン策定のヒントを掴んでください。
日産自動車株式会社のビジョンから学べるポイント①ゴールが明確
『日産自動車株式会社』のビジョンは、内容を見るだけで「何を達成するのか?」がわかります。
なぜなら、ゴールが明確に記されているからです。
3つのビジョンでは「電動化の加速・電動車のモデルミックスの拡大・全固体電池の投入」のゴールが記載されています。専門的な知見がない人が見ても「日産はこういうことがやりたいんだね」というのが伝わるのではないでしょうか。
わかりやすいゴール設定は、社内であれば「このためにどのような行動をすれば良いか?」が明確になりますし、社外からは「この目標を応援しよう」という気持ちにさせます。
日産自動車株式会社のビジョンから学べるポイント②いつまでにするかが明確
正しいビジョンの策定のポイントは「期限」を定めることです。
期限を定めないビジョンは、曖昧な目標となってしまい「理想」や「夢」のようになってしまうからです。
その点を踏まえて『日産自動車株式会社』のビジョンを見てみると、3つそれぞれに「〇年までに」と期限が定められています。
これにより、たとえば「2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入」といったビジョンであれば、社内では「2030年に間に合わせるために今何をすべきか?」という行動が明確になります。
社外からは「ビジョン達成に向けてどんどん電気自動車を投入してくれている!今後にも期待したい!」という気持ちにさせてくれます。
日産自動車株式会社のビジョンから学べるポイント③どのようにするかが明確
『日産自動車株式会社』のビジョンで非常に優れているのは、具体的な数字まで記載されている点です。
具体的な数字があるとないでは、ビジョンの信憑性に大きな差がでます。
たとえば「今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速」のビジョンを「今後5年間で電動化を加速」とした場合では「実際にどのように進めていくの?」という疑問が残ります。
しかし「2兆円を投資」と記載することで、具体性が増し、日産の本気度が伝わるようになっています。
「2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種のワクワクする新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大」のビジョンでも考えてみましょう。
具体的な数字を入れていない場合では「2030年度までに電気自動車含む新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを拡大」となります。これでは、「なんだか凄そう」という程度の感想になってしまうのではないでしょうか。
しかし、「車種の数」や「〇%まで拡大」としたことで、具体性が増し、社外にも伝わるビジョンになっているのです。
「ゴール・期限・数字」のないビジョン例は真似しない
有名企業のビジョンのなかで「ゴール・期限・数字」が記載されていないものもありますが、真似しないでください。
なぜなら、中小企業が真似してもビジョンとして機能しないからです。
抽象的なビジョンは、大手企業だから成立しています。
たとえば、『KDDI株式会社』が2022年に掲げたビジョンは「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる」です。このビジョンには、わかりやすいゴールも期限も具体的な数字もありません。
しかし、『KDDI株式会社』が「つなぐチカラ」といえば、通信環境を指しているのだろうとわかります。これは、『KDDI株式会社』だからこそできることです。
仮に名前も聞いたことのない中小企業が同じビジョンを掲げていたらどうでしょうか?「つなぐってなにを使って?」「思いを実現ってどのように?」という疑問しか生まれません。
ですから「大手企業もこのようなビジョンを掲げているから、うちも同じようなビジョンを策定するんだ!」と盲信してはいけません。
中小企業のうちは、具体的でわかりやすい「ゴール・期限・数字」の基本を守ってビジョンを策定しましょう。
有名企業のビジョン例は“参考”として捉える
インターネット上では、多くの有名企業のビジョン例が紹介されていますが、中小企業においてはそのままの形を真似してはいけません。
解説したように、大手の有名企業は、これまでのブランドがあるから現在のビジョンで成り立っているのです。
中小企業では、より具体的なビジョンを掲げなければ機能しません。
弊社ではビジョンを魅力的にするビジョン・ブラッシュアップをおこなっておりますので、抽象的なビジョンだと感じているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。
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