「ChatGPTを使えば、ビジョンをつくれるのではないか?」
と試した人もいるのではないでしょうか。
結論から言えば、ChatGPTだけでビジョンをつくるのは難しいです。
なかには「実際に作ってみて良いのができた」と思っている方もいるかもしれませんが、果たしてそのビジョンは本当に使えるビジョンでしょうか?
そこで今回は、ChatGPTでビジョンをつくるのが難しい理由について解説します。
ChatGPTでも“なんとなく”のビジョンはつくれる
「ChatGPTでビジョンつくれましたけど……」
という方もいるかと思いますが、そのビジョンは字面だけのビジョンにはなっていないでしょうか?
字面だけのビジョンというのは「機能しない」ビジョンです。
本来のビジョンは、以下の要素を踏まえる必要があります。
- 今いる場所から、将来いるべき場所への変化を感じられるか?
- 意欲を高める内容か?
- 意識、行動をフォーカスできるか?
- フィードバックできるか?
- 測定可能か?
- 組織のビジョンに紐づいているか?
- メンバーにどんなインパクトがあるのか?
ChatGPTでビジョンをつくれたという方は、上記の要素が含まれていない「なんとなく」の内容になっているかと思います。
ChatGPTで“本物”のビジョンがつくれない理由
ChatGPTで本物のビジョンをつくれない理由は、以下の3つがあります。
- プロンプトが難しい
- 経営者の思考や組織の目標を落とし込むのが難しい
- 客観性に欠ける
上記の問題点があるために、ChatGPTでは不十分になってしまうのです。
以下で、それぞれの要因について、具体的に解説します。
プロンプトが難しい
まずChatGPTを扱うには「プロンプト」を理解しなければいけません。
「プロンプト」とは、ChatGPTに出す「指示」と考えてください。
この「指示する情報」を的確にChatGPTに伝えなければ、ビジョンに必要なすべての要素を満たすことはできません。
反対を言えば、プロンプトの入力さえ正しくできれば満足できるビジョンができるかもしれませんが、ChatGPTを使いこなせるようになるまでにはとても時間がかかるので、効率的とは言えません。
経営者の思考や組織の目標を落とし込むのが難しい
経営者の頭のなかをすべて言語化できなければ、十分なビジョンはつくれません。
なぜなら、プロンプトするには、前提として言語化が必要だからです。
しかし、経営者の思考・組織の目標・課題などをすべて言語化するのは困難です。
もし言語化できるのであれば、現時点でビジョンをつくれているはずです。
客観性に欠ける
ChatGPTでつくるビジョンは、客観性に欠ける恐れがあります。
なぜなら、ChatGPTでは経営者や担当者が個人で向き合って作る傾向にあるからです。
本来、ビジョンは従業員すべてが理解できる内容でなければいけません。
ですから、個人がChatGPTに向き合って「良いのができた!」と思っても、それは個人の満足でしかない可能性があるのです。
もしそのビジョンを従業員に伝えて「いまいち理解できない」となってしまえば、1からやり直さなければいけません。
一方で従来の方法では、グループを作って数人でビジョンを策定していきます。
複数人の意見が出ることで、全員が理解できるビジョン、洗練されたビジョンになっていくのです。
また、グループでディスカッションを重ねることで、従業員に対して「なぜこのビジョンになったのか?」「どのような経緯でこのビジョンになったのか?」をしっかり説明できるようになります。
ChatGPTでつくるビジョンでは、従業員に「なぜこのビジョンなのか?」を聞かれても、具体的に答えられなくなってしまうでしょう。
ビジョンは熱量から生まれる
ビジョンは、経営層や担当者の熱量から生まれるものです。
ですから、ChatGPTでは本来あるべきビジョンはつくりだせません。
本当に機能するビジョンをつくるためには、人と人との対話が必要です。
弊社でも、ビジョンを策定するための「ビジョン・ブラッシュアップ」研修をおこなっておりますので、ぜひ「ChatGPTでビジョンをつくったが納得できるものになっていない」という方はご相談ください。
株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)
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