ミッションとビジョンの明確な違いとそれぞれの役割

「ビジョン」の考え方や策定方法について調べている方のなかには「ビジョン・ミッション・バリュー」を策定しようとされている方も多いかと思います。

しかし、「ビジョン」と「ミッション」の明確な違いについて理解できているでしょうか。

そこで本記事では、ビジョンとミッションの違いについて解説します。

それぞれの違いを正しく理解して「ビジョン・ミッション・バリュー」を策定する際の参考にしてください。

また、ビジョンとそのほかの違いについては、以下の記事も参考にしてください。

目次

「ミッション」とは?

「ミッション」とは?

ミッションは、しばしばビジョンと混同されがちです。

しかし、それぞれは異なる概念であるため、その違いを理解しておかなければなりません。

ミッションは、現在の組織や個人が持っている基本的な使命や目的であり、存在理由ともいえます。

日々の活動の指針となり、何をすべきかを明確に示してくれる方角のような存在です。

多くの組織では、社員全員が共有するミッションを掲げることで、一体感を持って業務に取り組めるようになっています。

「ビジョン」とは?

「ビジョン」とは?

ビジョンは、企業や組織が長期的に目指すべき理想の状態や目標です。

組織の存在意義を明確にし、関係者に対して共有するための重要な指針となります。

ビジョンは単なる目標や夢ではありません。具体的かつ実現可能な未来の姿を描き出すために、現状の分析を踏まえつつ、将来の可能性を見据えた上で策定されるものです。

ビジョンの発想方法については、以下の記事を参考にしてください。

ミッションとビジョンの根本的な違い

ミッションとビジョンの根本的な違い

ミッションとビジョンには根本的な違いがあります。

違いを明確にすることで、効果的な「ビジョン・ミッション・バリュー」を策定しやすくなります。

以下でそれぞれの違いについて、具体的に解説します。

タイムスパンにおけるミッションとビジョンの違い

ミッションとビジョンが最も異なる点は、タイムスパンにあります。

ミッションは、一般に現在から近い将来にかけての組織の基本的な目標や存在意義を示しています。

対してビジョンは、より長期的な未来に組織がどのような姿を目指すかを表します。

例えば、ある企業のミッションが「品質の高い製品を提供することで顧客満足度を高める」である場合、そのビジョンは「10年後には業界をリードするイノベーション企業になる」などといった目指す未来像を示します。

つまり、ミッションは「今」にフォーカスを当て、ビジョンは「将来」へと視点を転じています。

目標達成へのアプローチの違い

ミッションとビジョンを具体化するためのアプローチにもそれぞれ違いがあります。

ミッションは、より実践的で日々の業務や決定における指針となるものです。したがって、ミッションを元にした目標設定は短期的なアクションプランを必要とします。

一方でビジョンは、長期的な理想を表しているため、成し遂げるためのロードマップを描くことや、イノベーションへの投資など将来を見据えた経営戦略が要求されます。

ミッションが「今日何をすべきか」に答えを与えるのに対し、ビジョンは「未来に何を成し遂げたいか」という壮大な夢を描きます。

組織内でのミッションとビジョンの役割分担

組織内におけるミッションとビジョンの役割も異なります。

ミッションは組織全体、そして個々の従業員の日々の意思決定や行動の基準として機能します。これにより、全員が同じ方向を向いて業務を進められます。

一方、ビジョンは経営層やリーダーたちが使うべき長期的な指針です。

ビジョンの掲げる理想に向かってリーダーシップを発揮し、組織内外の人々を鼓舞するのがその主な役割です。

つまり、ミッションは「今を統治するもの」として、ビジョンは「未来を指し示すもの」として使い分けられます。

組織の成長とともに進化するミッションとビジョン

組織の成長とともに進化するミッションとビジョン

組織が成長する過程で、初期のミッションやビジョンは変わる可能性があります。

これは、社会的ニーズの変化、環境の変動、技術の進歩など、外部要因によって変わることもあれば、内部の組織体制や事業の拡大といった理由から変わる場合もあります。

組織の成長に応じて、ミッションやビジョンもアップデートし、より適切なものへと進化していく必要があるのです。

成長フェーズに合わせたミッションの調整

ミッションは、組織のフェーズに合わせて変化していきます。

起業初期には、ミッションは「市場に新しい価値を生み出す事」に集中しているかもしれません。

しかし、事業が成長し、市場に定着すると、そのミッションは「持続可能な成長を実現し、顧客にとってなくてはならない存在であり続ける事」にシフトしていく場合が多いです。

こうした成長フェーズごとに、組織はその存在意義を見つめ直し、環境変化に応じた適応策を打ち出さなければなりません

その過程で、関係者全員が理解しやすいように、簡潔かつ明確なミッションへと調整していく必要があります。

未来の成長を見越したビジョンの展望

ビジョンは組織が目指すべき将来像を描いたものです。

これは、単に近い将来の目標を設定するのではなく、より長期にわたる未来の成長を見据えたものであるべきです。

どのような社会を作りたいのか、またそのために組織はどう成長していくべきなのかを示します。

そして、時代の変化に対応しながらも、そのビジョンを実現するための戦略や方針を定め、新たな挑戦をしていく必要があります。

ビジョン・ミッションを適切に策定する

ビジョン・ミッションを適切に策定する

ビジョンとミッションは混同されがちで、いずれも同じような内容を掲げている企業もあります。

しかし、それぞれを適切に策定しなければ、ビジョンもミッションも機能しなくなってしまいます。

ですので、ぜひ本記事を参考にして正しいビジョン・ミッションを策定してみてください。

弊社でもビジョンをより良いものにする「ビジョン・ブラッシュアップ」研修をおこなっておりますので、ビジョンを策定する際には、ぜひご相談ください。

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石垣敦章(イシガキ ノブタカ)
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