競争において、勝つためにはどのような戦略を取るべきでしょうか。
特に、資源が限られている中小企業が大手企業に対抗するにはどうすればよ良いのか?
そんな疑問に答える理論が、「ランチェスターの法則」です。
ランチェスターの法則は、競争における力の差をどう捉え、どのように戦うべきかを示した戦略論であり、「弱者の戦略」と「強者の戦略」という2つのアプローチから考えます。
本記事では、ランチェスターの法則を基にした戦略的アプローチを解説し、その活用法を具体的に紹介します。
ランチェスターの法則とは?

ランチェスターの法則は、20世紀初頭にイギリスの軍事戦略家フレデリック・ランチェスターによって提唱されました。
この法則は、戦闘や競争における力の差を数理的に説明し、どのように戦うべきかを指し示すものです。
ランチェスターの法則には主に2つの側面があります。
- 弱者の戦略
- 強者の戦略
これらの法則は、競争における戦略的なアプローチを明確にし、競争における優位性をどう作り出すかを教えてくれます。
ランチェスターの第一法則:弱者の戦略
ランチェスターの第一法則は、弱者が競争においてどう戦うべきかを示すものです。
この法則は、力の差がある場合、小規模な企業やチームがいかにして大手企業に対抗するかを検討できます。
第一法則によれば、弱者は数の力で戦うべきであり、規模の差を逆手に取った戦略を取ることが求められます。
弱者の戦略の基本
ランチェスターの第一法則では、弱者が戦うためには「一騎打ち」「接近戦」「局地戦」のような戦略を取るべきだとされています。
これらは、強者に対して効果的に戦う方法を提供し、局所的な市場で競争優位を確立する手段です。
具体的には、以下のように考えます。
- 一騎打ち…特定の市場で、強者に対して単独で勝負を挑む戦略
- 接近戦…小規模な市場での競争
- 局地戦…地域市場で競争する戦略
これらの戦略に共通するのは、規模ではなく、戦術を工夫して局地的な優位性を築くことです。
弱者は大規模な戦いを避け、自分たちの強みを生かして特定の分野で勝負を挑みます。
ランチェスターの第二法則:強者の戦略
ランチェスターの第二法則は、強者が競争においてどう戦うべきかを示しています。
この法則では、大企業や強力な企業が市場で圧倒的な競争優位を得るためには、どう戦略を構築すべきかを検討できます。
第二法則によれば、強者は力の差を最大化する戦略を取るべきです。
強者の戦略の基本
ランチェスターの第二法則では、強者が戦うためには「近代兵器」「遠隔戦」「全国制覇」といった戦略を取るべきだとされています。
これらは、規模とリソースを最大限に活用し、市場全体での優位性を確立する方法です。
具体的には、以下のように考えます。
- 近代兵器…技術力や製品の優位性を活かした戦略
- 遠隔戦…市場全体で広範囲に競争を繰り広げ、競合他社を圧倒する戦略
- 全国制覇…自社の強力な市場シェアを全国規模で拡大する戦略
強者は、リソースの豊富さを活かして、全国規模での競争を有利に進めることができます。
大規模な広告キャンペーンや広範囲な製品展開を行い、全市場に対して影響を与えます。
ランチェスター戦略から考える中小企業のビジョン策定

中小企業が大企業と競争するためには、大企業が持つリソースや規模に直接対抗することは難しくなります。
そこで、ランチェスターの法則における「弱者の戦略」を応用します。
中小企業がこれらの戦略をビジョンに反映させることで、独自の競争優位性を築けるようになるのです。
以下では、具体的なビジョンの考え方について解説します。
一騎打ち:特定市場での競争優位性を確立する
中小企業が大企業に対抗するためには、規模での勝負を避け、特定の市場やニッチ分野での専門性を高める必要があります。
ビジョンとしては「特定の業界や地域で一番の信頼を得る」や「限られたリソースで最高の製品やサービスを提供する」など、具体的でターゲットを絞った目標を設定すると良いでしょう。
大企業が全国規模で展開している中で、特定の地域や特定のターゲット市場に特化することで、差別化が可能となり、競争優位を築けます。
接近戦:既存市場での競争を優位に進める
「接近戦」は、競争が激しい市場でも中小企業が有効に戦える戦略です。
大企業と同じ市場で競争することになりますが、規模ではなく、サービスの質や顧客対応、柔軟性などで差別化を図ります。
中小企業は、大企業と同じく全国規模で展開することは難しいかもしれませんが、特定の地域や顧客層に焦点を当て、そのニーズを的確に捉えることで競争優位性を確立することができます。
局地戦:特定地域や特定市場での独自性を打ち出す
「局地戦」は、特定の地域や市場で競争を行う戦略で、規模の経済に頼らず、地域密着型やターゲット市場に焦点を当てることで競争優位性を得る方法です。
中小企業は、大手企業がカバーしきれない市場やニッチな分野で勝負することが求められます。
この戦略は、特定の顧客層や市場に特化することで、強力な競争優位を築けます。
ビジョンを作成する際には、「どの市場や地域でどのように特化するか」を明確にし、そのニッチ市場において最適な製品やサービスを提供することを目指します。
ランチェスターの法則で中小企業の“勝てる”ビジョンを

ランチェスターの法則は、競争において弱者がどのように戦うべきかを教えてくれる戦略です。
中小企業がビジョンを策定する際には、この法則を応用して特化した市場や競争優位性を築くと良いでしょう。
「弱者の戦略」を理解し、差別化と特化を軸にしたビジョン作成を行うことで、リソースが限られている中小企業でも大手企業に対抗できます。
ビジョンの策定は、弊社でもサポートしております。
自社ならではの強固なビジョンを策定する際には、ぜひ弊社がお力になれますので、ご相談ください。

株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)