研修に参加すると、多くの学びがあるため、仕事で試し、自分で活かすことが大事です。でも自分一人が成長するだけではもったいなくありませんか?研修に参加したのでリーダーシップも向上した。マネジメントスキルも、プレゼン能力も、ロジカルに戦略を作る方法も向上した。「だからこそ、自分が管理職として周囲に評価されるんだ」自分の能力が高いことは問題ないかもしれませんが、自分だけに留めておいて、部下より自分の方が何に置いても仕事ができる状況を維持する、と考えては組織の成長は鈍化します。人は特性が違うので、部下の方が優れていることがあってあたりまえです。その事実を認めつつ、相互に学ぶ姿勢が健全な組織の成長につながっていきます。そのため研修で得た知識はぜひ社内で共有してください。ともに学ぶということは管理職の謙虚な姿勢を生み出す効果もあります。学びを現場で実践すると必ず失敗と成功を繰り返すことになります。人にも迷惑をかけて謝ることもあります。その中で謙虚で互いを助け思いやる気持ちが生まれてくると、成長を前提とした組織文化がうまれやすくなります。
個人の成長が組織の成長に活かされないケースがあります。直感と行動量で動く課があると仮定します。その課の一般職の方が市場分析とロジカルシンキングの研修を受講したとします。研修で得た知識で新たな仕事の仕方を課内にレポートします。しかし分析にかかった時間や新たなやり方を実施するための労力を指摘され、今まで通りの直感と行動量のみの課に元通りとなることがあります。研修で得た知識が台無しになる瞬間です。
こういう状況は誰が問題なのでしょうか。新たな提案を受け入れない管理職のせいでしょうか。研修を受講し、レポートした部下の報告能力のせいでしょうか。レポートした部下をサポートできない先輩社員のせいでしょうか。人の責任ではなく、組織内にある、共に学ぶという組織カルチャーに問題があると私は考えます。もし得た知識は皆で学び仕事に活かそうという意識があり、過去にも学びを活かしあった経験があれば、部下の報告は活かされたはずです。
研修を個人の学びだけで留めず、組織開発に結びつけるには、互いの能力を認め合い、補い合い、議論や共同作業を通じて醸成させていくことが大事になります。そうすると自己啓発が「相互啓発」に変わり、会社が共に学び成長を続ける組織に向上しはじめます。人材開発と組織開発が結びつく組織カルチャーを醸成できます。