組織コミットメントとは、従業員が組織に対して抱く帰属意識などを指します。
一見「従業員エンゲージメント」と似ているため、細かな定義がわからない人もいるでしょう。
また、組織コミットメントには、3つの種類があります。
そこで今回は、組織コミットメントの定義や3種類の意味について解説します。
エンゲージメントの意味については、こちらの記事でも解説しているので、参考にしてください。
組織コミットメントの定義
組織コミットメントは、自社への帰属意識や自社への愛着心を指します。
組織心理学者のジョン・マイヤーとナタリー・アレンによると、「従業員と組織の関係を特徴づけ、組織の一員で居続けようという意思決定を内包する心理的な状態」です。
わかりやすく言い換えるならば「自社で働き続けたい」と、強い意欲を持っている状態といえます。
ビジネスシーンで使われる「コミット」の意味
コミットメント(commitment)を直訳すると以下の意味があります。
- 委託、関与
- 公約、約束、言質
- 責任
- 参加
それぞれに共通するのは、本人が責任を持って関わっていくことといえます。
以下では、ビジネスシーンにおける「コミットメント」がどの意味を重視しているのかについて、解説します。
公約・承認
ビジネスシーンにおけるコミットメントは、公約・承認の意味が強いです。
「約束」というよりも「契約」の形で使われる場面が多く「取引先のコミットメントが必要」や「社長のコミットメントが得られた」という形で使われます。
責任をもって関与する
ビジネスシーンにおいては、責任を持って関与するという意味でもよくつかわれます。
たとえば「新規プロジェクトにコミットメントする」といった形でよく使われますが、これは単に役割を当てられたり参加したりするような「アサイン」や「ジョイン」とは若干ニュアンスが異なります。
この場合の「コミットメント」は、全力でプロジェクトに取り組むという意味が含まれているのです。
3種類の組織コミットメント
組織コミットメントは、3種類に分類できます。
- 情緒的コミットメント
- 存続的コミットメント
- 規範的コミットメント
それぞれの意味や、高めることで得られる企業のメリットについて解説します。
情緒的コミットメント
情緒的コミットメントは、会社やメンバーに対する愛情に基づいて「この組織に居続けたい」と気持ちから生まれるコミットメントです。
組織や個人間での価値観や目標が近ければ近いほど、情緒的コミットメントは強くなります。
情緒的コミットメントが低下してしまうと、組織に居続けたい気持ちが薄くなり、早期離職に繋がってしまうので注意しなければいけません。
情緒的コミットメントは自然と芽生えるのを待つのではなく、企業側から働きかけて育成する必要があります。
存続的コミットメント
存続的コミットメントは、損得に基づいて、対価や報酬を得るために組織に居続ける考え方です。
損得が関係するため、評価や得られる報酬、役職、福利厚生などが大きく影響します。
そのため、労力に対しての報酬や評価が適正にされていないと判断されると、存続的コミットメントは大きく低下してしまうでしょう。
存続的コミットメントを高めるには、人事制度を適切に見直す必要があります。
規範的コミットメント
規範的コミットメントは、「組織に尽くすべき」と考えるコミットメントです。
損得や情緒ではなく、無条件で会社のルールこそが正しいと考えて尽くす特徴があります。
規範的コミットメントを持つ人は、自分から変化を起こしたり提案したりする人が苦手で、現存のルールを順守する意識が強いです。
そのため、企業側は組織のルールやブランドイメージなどを、固めておく必要があります。
組織コミットメントに必要なビジョン
組織コミットメントには3つの種類があり、それぞれのコミットメントで企業が働きかける部分も異なります。
そのなかで、共通して軸となる部分が「ビジョン」です。
会社として向かう方向をしっかり示すことで、情緒的・存続的・規範的、すべてのコミットメントに良い影響を与えます。
そのため、組織コミットメントを高めるために何からすべきかわからない場合は、まずビジョンを見直してみましょう。
弊社では、ビジョンをブラッシュアップする「ビジョン・ブラッシュアップ」を行っております。
自社の軸を改めて定める際にも、ぜひご活用ください。
株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)
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