ビジネスにおいて「あるべき姿」と「ありたい姿」、2つの言葉が使われるシーンがあります。
いずれも近しい言葉であるため混同されがちですが、具体的にはそれぞれは違うものです。
では「ビジョン」は、あるべき姿とありたい姿どちらに分類されるのでしょうか。
今回はビジョンに当てはめながら「あるべき姿」と「ありたい姿」の違いについて解説します。
あるべき姿とは?
ビジネスにおける「あるべき姿」とは、世の中の前提やルールを基に、第三者から見た客観的な理想の状態を指すといわれています。
第三者も自社も納得のできる、真っ当な内容が「あるべき姿」です。
ありたい姿と比べると「実現できる目標」と言い換えても良いでしょう。
つまり、あるべき姿は「こうなりたい」といった目標ではなく「こうなる」と言い切れるものであると言えます。
ありたい姿とは?
ありたい姿とは、自社が望む理想の姿です。
制約や条件などを一度外したうえで「思い通りになるならばどうなりたいか?」の答えが、ありたい姿と言えます。
あるべき姿と比べると、どちらかといえば「こうなりたい」という願望的な部分が強いです。
ビジョンは「あるべき姿」を描くべき
上記で「あるべき姿」と「ありたい姿」の定義について解説しましたが、ビジョンにおいては「あるべき姿」を描くべきだと言えます。
なぜなら、ビジョンは単なる目標ではなく「達成できる目標」だからです。
あるべき姿とありたい姿、どちらもビジョン策定において必要な考え方ですが、ビジョンで策定すべきなのは「こうなりたい」ではなく「こうなる」または「こうならなければならない」と想いです。
これらの観点から考えれば、ビジョンは「あるべき姿」で描くべきと言えます。
以下では、よりビジョンを具体的に伝えるためのポイントについて解説します。
ありたい姿も加味することで具体的なビジョンを描ける
ビジョンは「あるべき姿」を描くべきですが、ありたい姿を無視するわけではありません。
ビジョンを達成するためには、ありたい姿も意識してください。
あるべき姿とありたい姿の両方から考えることで、具体的な行動が見えてくるからです。
ただ「わが社はこうあるべきだ」というビジョンを掲げても、具体的な行動が見えず、達成できないビジョンになってしまいます。
ビジョンはあるべき姿をわかりやすく伝える
ビジョンは、あるべき姿をただ掲げるだけでは意味がありません。
なぜなら、具体性を持たせなければ、誰も行動できないからです。
何をいつまでに達成するかまで掲げなければ、「経営層が勝手に掲げたこうあるべき」として、社員のほとんどは行動してくれません。
そのため、ビジョンを策定する際は「〇年後に△をして□を達成する」といったような具体的な内容にしましょう。
なぜ「ありたい姿」ではダメなのか?
ビジョンが「ありたい姿」ではダメな理由は、ありたい姿では「目標」のようになってしまうからです。
ビジョンは「目標」ではありません。
「将来のあるべき姿」や「数年後に達成できる見える形」がビジョンです。
上記2つの観点から考えると、ありたい姿の「こうなりたい」という想いは、どちらかといえば目標に近いものであり、達成できるものとは言えません。
微妙なニュアンスの違いではありますが「必ず達成できる」というような気概を持って取り組めるのは「あるべき姿」と言えるでしょう。
達成できなければビジョンではない
ビジョンは「達成できる姿」です。
「こうなりたい」「こうなれたら良い」というニュアンスに近い「ありたい姿」は、ビジョンとは言えません。
そのため「ビジョンとはあるべき姿か?ありたい姿か?」という問いに回答するのであれば、ビジョンは「あるべき姿」と言えるでしょう。
ただし、ビジョンを策定し、達成するためには「ありたい姿」「あるべき姿」両面から考え、具体性をもたせる必要があります。
弊社ではビジョンを見直す『ビジョン・ブラッシュアップ』を行っておりますので、ぜひビジョン活動にもご活用ください。
株式会社comodo
石垣敦章(イシガキ ノブタカ)
080-3574-4261